ネットリテラシー検定機構

ネットリテラシー検定機構

-インターネット上の情報

コラム:デマと伝言ゲーム

「伝言ゲーム」という遊びを多くの人が経験したことがあると思います。このゲームは、正確に伝わってしまっては、何にもなりません。情報が正確に伝わらないからこそ楽しいゲームなのです。  古い研究になりますが、カール・A・メニンジャーが『人間の心』(1930年)という著書の中でキング夫人について計10人の女性同士の会話が変わっていく様子を示しています。アダム夫人がベック夫人に、キング夫人の不在理由を尋ねた何気ない一言が、次々と累積して変装し、10人目のジョーンズ夫人に伝わったときにはキング夫人のお葬式の話になっていました。ところが、ジョーンズ夫人がキング夫人に出会ったことから、とんでもない飛躍になっていることに気付くわけです。  第二次世界大戦時に、戦時流言の研究をしたオルポートとポストマンは、『デマの心理学』という書籍でこのエピソードに触れながら、R=i×aという公式を導き出します。RはRumor(うわさ)、iはimportance(重要性)、aはambiguity(あいまいさ)を示します。かけ算というのがミソで、10人の女性同士で会話が行われる間に、誰かがキング夫人を知らなければ話者にとってのi(重要性)がゼロになりますし、10人目に話が伝わる前に誰かがキング夫人に会っているか、不在の確かな理由を知っていれば、a(あいまいさ)がゼロになりますね。どちらか一方がゼロのかけ算は答えがゼロになりますので、噂は発生せず、キング夫人も勝手に死んだことになりませんね。