ネットリテラシー検定機構

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-システムへ負荷をかけるもの

チェーンメール

 「この葉書の文面を同じように○人に送れば幸せになります(不幸になりません)」。これは「幸福の手紙」「不幸の手紙」というもので、1960年代末から1970年代の前半にかけて起きた社会現象です。当時、社会学者の見田宗介さんはやっかいものを順々に人に押しつけていく「一億総“ババ抜き”の心理」だと、朝日新聞(1970年10月31日付東京版朝刊24ページ)にコメントを寄せています。
ただ、このときばかりではなく、ルーツは古く、第二次世界大戦中には反戦をよびかけた手紙も存在していました。 これに似たものがインターネットやSNSでもあり、「チェーンメール」と呼ばれています。これまでに起きたチェーンメールとしては、有名な放送番組の企画で世界記録に挑戦中とするメールが流されたことがあります。
こうしたたわいない話であっても、誤解に基づいて個人や特定の団体を攻撃するものがあっては困りますし、災害時等であれば、なおさらやっかいなことになります。1923年の関東大震災では「井戸に毒物混入」の流言をきっかけに、当時日本の植民地であった「朝鮮人」などを中心として自警団等による犠牲者が出ています。当時はラジオ放送が始まる前でしたし、新聞社も被害に遭っていますので、すべてが伝聞情報に基づく流言と考えられますが、それではメディアの発達やインターネット・SNS等、技術の発達がこれを解決できたでしょうか。
その逆で、問題解決はできていません。2011年3月に起きた東日本大震災でも、「有害物質の雨が降る」「水道に異物混入」「(電力供給に関係のない地域の)西日本で節電が必要」といったチェーンメールが報告されています。もちろん、こうした不確実な情報を拡散する人がいる一方で、情報を確認して対策に乗り出す善意の協力者もいますが、問題は、誤った情報を受け取ったり、流したりした人のすべてがその正確な情報を確認したり、間違いに気付いても訂正をしてくれたりしないことです。つまり、火消しが完全ではないために、いつまでも誤った情報がネット上に残ってしまったり、拡散されてしまったりすることが問題となります。  また、もっともらしい内容であるかのように信憑性を偽装する行動も確認されています。ただ、前項の流言等と同じで、伝聞情報に基づいて内容を確認せずに伝えることが共通の問題点と考えられます。情報発信がより身近に手軽にできるようになった今だからこそ、ひとりひとりが情報発信の影響力の大きさを考え、内容の信憑性、信頼性を高める作業が重要になりますね。