今日、職場にはインターネットを利用する環境が十分に整っており、また業務上インターネットを利用することはもはや当然の事となっています。しかし、業務の中でのインターネット利用には十分な注意が必要なことを理解しておかなければなりません。
通常、多くの職場では職業倫理や職務規定として守秘義務が定められており、また、所属する組織の利用規則や管理者の指示に従ってインターネットを利用することが求められます。業務上知った秘密情報がインターネットの利用中に故意または過失によって漏えい、公開してしまった場合、所属する組織やその利害関係者から損害賠償を請求されてしまったり、職業によっては法律で罰せられてしまったりすることがあります。業務上で知り得た情報を許可なくインターネット上にアップロードすることや、顧客の電話番号が入った携帯電話や会議内容をメモするために撮った写真が入ったスマートフォンを落としてしまうことなどは、意図せず大きな問題となってしまうため注意が必要です。
職場で、業務上不適切なサイトを閲覧していたり株取引をやっていて問題になったりするような話が後を絶ちません。多くの組織では労働契約や就業規則等で、従業員が誠実に労働することを求めています。業務時間中に業務以外のことで私的にインターネットを利用することを私的利用といい、職場のコンピュータを利用した職務とは関係のないコミュニケーションツールの利用、オンラインゲーム、ネットサーフィン、映画や動画のダウンロード、金融取引などをすることがこれにあたります。私的利用は行き過ぎると査定のマイナス評価の対象となったり、懲戒の対象となったりします。また、私的利用による影響としては、「コンピュータウィルス感染」「企業の有する情報の流出・漏洩」「ネットワーク混雑などの通信障害」「仕事効率の低下」などがあります。
品位を貶める表現にはさまざまなものがあります。たとえば、「○○の一員としてふさわしい行動を」というのは、何となく言葉としては分かっても、実際にどのように行動するのかを考えてみると非常に難しいと思います。アルバイトやパート、会社員が勤め先に合っているかどうか、立場によって見解が分かれる場合もあります。
インターネット上で所属する組織の品位を貶める行為とは、具体的には、組織からの発信であるとわかるような状態で公序良俗に反するもの・犯罪行為と思われる表現などの情報を発信する行為が該当します。ただ、たいていの組織には品位を貶める行為に明確な基準がなく、理念や行動基準となる規範や綱領、倫理規範、ルールが定められているにとどまります。どこまでが品位を保っていて、どこからが品位を貶める行為や表現となるのか、きわめてあいまいであり、明確な線引きはできません。ですが、本人たちは少し羽目を外したり、悪ふざけとしてやったりしたと思っている行為が、品位のない行為と判断されて処分を受けたり、外部からの社会的な評価を落としたと判断され場合によれば法律違反になることもあります。
こうしたことを踏まえて考えてみると、インターネットでの行動や発言に慎重さが求められることが理解いただけると思います。
第1章 情報セキュリティ
第2章 マナーと倫理
第3章 法制度(刑事事件)
第4章 法制度(民事事件)
第5章 知的財産権
模擬試験