ネットリテラシー検定機構

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刑法

【例外的事項】

公然と事実を述べて、他人の社会的な評価を低下させた場合には刑事的な責任を負うのですが、場合によっては、それが許される場合(違法性阻却事由)もあります。たとえば、日々、新聞やテレビニュースなどで、企業の不正や政治家のスキャンダル、犯罪報道が伝えられていますね。こうした報道によって、当事者の社会的評価を低下させますが、なぜ問題とならないのでしょうか。それは「特例」が認められているからです。

  • (1) よくない事実をみんなに伝えることで、社会全体の利益や安全という「公共の利害」が存在する。
  • (2) 類似の不正の再発防止を促したり、犯罪から身を守る手段を伝えたりするという「公益を図る目的」がある。
  • (3) 事実が、真実あるいは真実に相当すると認められた場合。

上記の3点を満たす場合は、特例により違法にはなりません。そのために、記者は公式の発表をもとにしたり、関係者周辺を綿密に取材したりして、事実を裏付けています。

もちろん、インターネットでもそうした犯罪を伝える記事やニュースがありますので、これらの情報をもとにして個人がブログやSNS等で感想を書き込んでいるのを見たことがあると思います。個人の意見だから何を書いてもよいかというとそうではありません。たとえ、ニュースを基にしていたとしても、上記3点のすべてが備わっていないと違法になる恐れがありますので、十分な注意が必要です。

正義感に駆られて「許せないからやっつけてやれ」とか、「きらいな奴だから」とか、「逮捕されたから悪い奴だ。懲らしめてやれ」ということでは(1)と(2)の条件が整いません。また、確証のないことや憶測を述べれば(3)が不十分です。

他のネットに書かれているから真実じゃないか、大丈夫だということはありません。判例では、他の報道があったからということでは真実の証明があったとはいけないとされていますし、個人の書き込みであっても新聞社や放送局と同じように証明しなければならないとされています。これを「挙証責任」といいます。

このほか注意しなければならないのは、警察に逮捕されたからといって、その人が有罪であるとか、犯人であるとみることができないということです。「現行犯」であっても、どんなに怪しく見えても、正式な裁判を経て、有罪の宣告を受けるまでは「無罪の推定」があります。仮に有罪判決を受けたとしても無実の人が濡れ衣を着せられていたという「えん罪」の事例が、死刑判決を含めて数多くあります。また、被疑者・被告人、受刑者、元服役囚であっても一定の社会的評価はあります。

そのため、他人の名誉に関わる事実を書き込むときには、非常に慎重な行動が求められているといっても良いでしょう。

第1章 情報セキュリティ

インターネット上のサービス 脅威の種類 IDとパスワード データの取り扱い バックアップ アプリケーション セキュリティの確保 公衆LAN/無線LAN 機器等の処分/廃棄

第2章 マナーと倫理

利用する 場所・時間・目的 インターネット上の情報 危害を与える表現・行為 システムへ負荷をかけるもの

第3章 法制度(刑事事件)

刑法 その他インターネットに関係する法律 青少年・児童 守秘義務違反 その他

第4章 法制度(民事事件)

民事事件とは 名誉棄損 信用棄損 プライバシー / 肖像権の保護 個人情報保護法 ヘイトスピーチ(憎悪表現) 第三者への責任

第5章 知的財産権

著作権制度 商標権 意匠権 特許権 / 実用新案権

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